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目でみるページ 糖尿病の新しい検査・治療測定機器

持続血糖モニター(CGMS-Gold)

辻野大助西村理明

Diabetes Frontier Vol.22 No.2, 113-117, 2011

はじめに
 現在,糖尿病患者の日常生活における血糖値を把握する手段として,血糖自己測定(self monitoring blood glucose:SMBG)が頻用されている。しかし,SMBGは測定した時刻の“点”でしか血糖値を評価できず,その前後の血糖値の変化を推測することはできない。

はじめに(続き)

近年,血糖値の変化を “線” として表現し,個々人の血糖日内変動を把握しうる持続血糖モニター(continuous glucose monitoring:CGM)が登場してきた。1日数回のSMBGの結果では一見正常範囲に収まっているようにみえても,CGMを施行すると,食後や夜間などに思いもよらぬ血糖変動がみられたり,低血糖を認めることがある(図1)1)。

CGMS-Goldとは?

 わが国で2009年10月に承認され,2010年4月に診療報酬点数が決定し保険適用となったCGM機器が,Medtronic社のCGMS® System GoldTM(以下,CGMS-Gold)である(図2)。

この機器を使用するためには皮下にセンサーを刺入する必要があり,センサーに含まれたグルコースオキシダーゼという酵素が間質液中の糖濃度を電気信号に変換して数値化する。センサーの使用期間は3日間であり,連続して測定する場合は3日おきに新たなセンサーを刺入する必要がある。CGMS-Goldは,10秒ごとに糖濃度を測り5分ごとの平均値を算出し記録するため,1日288回の測定値が本体に記録される。ここで明確にすべきことは,CGMが測定しているのは間質液中のグルコースの濃度であり血糖値ではないということである。静脈血で測定した血糖値の変化と比べると約5~15分程度の時間的な遅れがあると報告されており,低血糖時において測定精度があまり良くない2)。しかし,SMBGの値で較正をすることで,その測定値は血糖値に近似し,測定精度は日常臨床でほぼ問題なく使用できるレベルに達している。したがって,本稿ではCGMの測定値も血糖値と呼称する。
 CGMS-Goldに記録されたデータを視覚化するためには,専用のパソコン機器に接続してダウンロードする必要がある(図3)。

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