糖尿病と口腔ケア
糖尿病における歯周組織破壊の特徴―歯槽骨代謝に及ぼす影響を中心に
Diabetes Frontier Vol.21 No.5, 542-548, 2010
「はじめに」歯周病は歯肉炎と歯周炎に分類される. 歯肉炎は歯肉溝に滞留した歯垢中の歯周病菌が歯肉結合組織に侵入し歯肉組織に限局して炎症が起こる場合を指し, 歯周炎は炎症が歯周組織全体に拡大し歯周ポケットが形成され, 歯槽骨吸収が起こる場合を指す(図1). 糖尿病は歯周病と密接に関連する疾患であり, 糖尿病の存在は歯周病の発症と進行を促し, 糖尿病関連歯周炎では著しい歯槽骨吸収が起こるなど重篤な病状を示すことが多い1). さらに, 歯周病の存在が糖尿病の病態に悪影響を及ぼすことから歯周病と糖尿病には双方向の関係があることも注目されている2). 本稿では, 糖尿病における歯周組織破壊について, 特に歯槽骨の病態に焦点をあてながら解説するとともに, 糖尿病関連歯周炎の診断マーカーの現状を考察することによって, 歯周病診断の臨床的課題も提起する. 「I. 歯槽骨の生理的特徴」歯周組織は, 歯肉(上皮および結合組織), 歯根膜, セメント質, 歯槽骨によって構成される(図1).
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※記事の内容は雑誌掲載時のものです。