特集 気管支喘息の自然歴とアウトグロー
Ⅳ.炎症の遷延化・沈静化に関わる因子 喘息の発症寛解と神経原性炎症
Relationships between airway neurogenic inflammation and the onset and the remission of asthma
喘息 Vol.27 No.2, 62-67, 2014
「Summary」神経原性炎症が喘息の発症や寛解に果たす役割については不明な点が多い。たとえば,TRPV1遺伝子欠損マウスを用いたわれわれの検討ではTRPV1の活性化はTh2免疫応答を抑制した。幼若ラットにRSウイルスを気道感染させて作成した細気管支炎モデルでは,末梢気道に神経原性炎症が惹起されたことは喘息の発症や遷延化に神経原性炎症が関与する可能性を示唆する。喀痰中ニューロキニンAは喘息発作時に増加しており,非発作時においても健常児より高値であったとの報告がある。この結果は,喘息発作時に神経原性炎症が関与していること,また非発作時においても喘息気道では神経原性炎症が持続していることを示唆している。神経原性炎症を調節する薬物は気道収縮抑制効果のほかに,抗炎症作用も期待できることから,喘息患者に対する長期管理薬としての可能性があり,今後のさらなる検討が必要である。
「Key words」神経原性炎症,TRPV1,カプサイシン,ニューロキニンA,サブスタンスP
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