特集 気管支喘息の自然歴とアウトグロー
Ⅳ.炎症の遷延化・沈静化に関わる因子 小児期発症の喘息の予後と呼吸機能
Prognosis and respiratory function of childhood asthma
喘息 Vol.27 No.2, 52-61, 2014
「Summary」小児喘息の長期予後は,多数の出生コホート研究などの検討から,35.9~76.7%が小児期に寛解し26~44歳まで寛解状態を保ち,成人期にも喘息が持続する率は5.0~20.0%,間歇的発作などなんらかの喘息症状が残存する率は23.3~30.4%と考えられ,寛解後成人期までに再燃を経験する割合は17.1~28.0%であった。呼吸機能低下は,6歳までに出現することが多く,呼吸機能低下の危険因子は,3歳以前に発症し6~11歳以降も喘鳴が続く持続性喘息,発作入院の反復,ステロイド薬を要する喘息発作の反復,アトピー性皮膚炎とアレルギー性鼻炎両疾患の合併,早期からの多種アレルゲン感作などであった。小児喘息の寛解・治癒には,抗炎症薬による早期の気道炎症抑制,無発作状態の確立とその長期維持,上記の危険因子を発症早期からコントロールすることなどを目指した総合的な治療管理が重要と考えられる。
「Key words」小児,喘息,予後,自然歴,呼吸機能,危険因子
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