特集 気管支喘息に合併する病態
小児期のアレルギー性疾患合併症(湿疹・食物アレルギー・アナフィラキシーなど)
Complications of allergic diseases in childhood ; eczema, food allergy, anaphylaxis and so on
喘息 Vol.25 No.1, 20-26, 2012
[Summary]小児気管支喘息は乳児期発症が多く, 発症年齢は低下傾向にあり, 本邦を含め先進国において有病率は増加傾向1)である. アレルギー性疾患の発症機序には遺伝因子や環境因子が絡み合い, さらには衛生仮説2)や予防接種3)などが関連しているとの報告があるが, 決定的な根拠にはなっていない. 生後間もなくから乳児湿疹, アトピー性皮膚炎(AD), 食物アレルギー(FA)を発症し, やがて気管支喘息アレルギー性鼻炎(AR)などを発症してくるような経過はアレルギーマーチと提唱されている. ここ数年でフィラグリン(FLG)などの遺伝子異常が喘息発症にも関係しているなどと報告があり, 研究段階であるがスキンケアなどで皮膚の状態を良好に保つことが, 一部の気管支喘息の発症予防につながるのではないかと考えられている. 今後, 自然歴などの疫学, 発症や病態の解明, 免疫学的寛容誘導の機序, 遺伝子多型などの研究の進展を期待したい.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。