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―小児科編―

喘息 Vol.21 No.2, 100-101, 2008

その患者さんを, 私たちはトコちゃんと呼んでいた. 本名は, 敏子という. 国立小児病院(現国立成育医療センター)アレルギー科にお父さんに付き添われて入院したときは, 小学校5年生の秋だった. 東京近郊の病院に長期入院していたが喘息発作がうまく治まらず, 入院中も大発作をしばしば起こすため, 主治医の先生が困り依頼してきたのである. 色白で手足が細く, 丸い顔でその真ん中に低いペチャっとした鼻があり, 優しい眼をしていた. 当時は, 1976年(昭和51年)頃だった. 今から思うと大した治療法もなく, 喘息発作が起きて, クロモグリク酸ナトリウムと硫酸サルブタモールの吸入で治まらないと点滴であった. 頼みの綱のテオフィリンは, 6mg/kg/8時間しか使えなかった. なんと, 当時はテオフィリンの血中濃度がベッドサイドで測定できなかったのである. 発作が起きると, 腹式呼吸に飲水, 喀痰の排出のための理学療法を行い, 奏効しないとステロイド薬の静注を行っていた.

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※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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