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印象に残る喘息症例

―内科編― 忘れられない喘息患者

中島明雄

喘息 Vol.19 No.2, 86-87, 2006

新米内科医のころ, 大先輩の医院を手伝いに行った. その大先輩(当時, 45~46歳?)が「開業すると喘息患者はせいぜい5名までしか持てないよ. 深夜喘息発作の救急受診で医者の方が殺されてしまう」と仕事の終了直前に教えてくれた. その言葉が, それから30年を過ぎた今でも思い出される. 実際, その後大学病院での喘息患者の治療には少なからず苦労した. いや, 効果的な治療ができずに呼吸困難に悩む患者さんに多大の迷惑をかけたというべきか. 1975年頃, わが国では喘息治療でステロイド薬を用いるべきではないとする傾向にあった. ステロイド薬を投与しなければならない患者はステロイド依存性喘息と称されて, いわば医師がステロイド薬依存性患者を造ってしまったとする風潮が強かった. 安易にステロイド薬を使用すれば, ステロイド薬の副作用をもたらすのみならず, ステロイド薬から離脱できなくなるので, ステロイド薬の使用は極力避けるべきとする論理である. 実際, ステロイド薬を長期にダラダラと経口投与された患者を多数診察したら, 成書に記載されているあらゆる薬剤を熟慮して投与しても, 症状の改善は全く観察されなかった.

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