特集 高齢者リハビリテーション
各論 循環器疾患
Rehabilitation in elderly people with cardiovascular disease
THE BONE Vol.26 No.1, 57-61, 2012
高齢者においては, 循環器系の調節機能が低下してくるため, 潜在的に心機能の予備能力が低下している. そのため, 臨床症状は出現, 悪化しやすく, さらにさまざまな合併症を発症しやすい. 合併症回避の面から心臓リハビリテーションは重要であり, 基本的に心電図モニター下でバイタルチェックしながら進める. 高齢者では, まず日常生活動作の確立という視点に立って運動耐用能を設定していくことが肝要である.
「はじめに」高齢者では, 加齢に伴う心循環器系に形態的あるいは機能的にさまざまな変化が現れてくる. 形態的には心筋細胞一つ一つの体積は増加するが, 一方その数は減少する. また, 心臓への交感神経の部分的な変性もみられ, その結果, 心臓は肥大化し, 交感神経に対する感受性が鈍化する. そのため, 運動に対する心拍数の増加は鈍り, 心筋の収縮力は減少する. 機能的には刺激伝導系の変性などから期外収縮, 洞不全, ブロックなどが出現しやすくなる1).
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