特集 神経難病に挑む―診断学から治療学へ―
パーキンソン病
Pharma Medica Vol.41 No.4, 17-22, 2024
パーキンソン病は運動障害が前景となる神経変性疾患であり、病理学的にレヴィ小体の形成が特徴である。診断は主に臨床症状の評価と補助的に神経画像診断を組み合わせて行われるが、特に初期では確定診断することが難しい場合も多く、新たなバイオマーカーの開発が必要である。そのなかでレヴィ小体の主成分で、かつ病態の要であるα-synuclein(α-syn)のシードを増幅して検出したり、画像的に可視化したりする技術が開発され、診断のパラダイムシフトになることが期待されている。治療は対症療法が中心であり、ドパミン補充療法が最も効果的である。しかし、Lドパ製剤はその吸収の不安定さや短い半減期、さらには長期使用に伴う副作用が問題となる。これを克服するためには持続的なLドパ製剤の投与が必要であり、胃瘻からの経腸療法や皮下注療法といった新しい投与方法が開発されている。しかし、これらの導入は煩雑であり、さらに進化したLドパ製剤の持続投与法の開発が必要である。また、パーキンソン病の発症メカニズムを考慮した疾患修飾治療も開発されているが、臨床試験では証明できず実用化には至っていない。今後はバイオマーカーを基盤とした診断・ステージングの開発、さらには病態に直接介入する治療法の確立と実現が期待される。
「KEY WORDS」パーキンソン病,α-synuclein,診断基準,バイオマーカー
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