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特集 糖尿病診療最前線2021

高齢者糖尿病のマルチモビディティとポリファーマシー

芳野弘

Pharma Medica Vol.39 No.5, 33-38, 2021

わが国では,超高齢社会の急速な進行により高齢者糖尿病患者数,全糖尿病患者に占める高齢者糖尿病の比率がともに著しく増加してきている。わが国の高齢化は今後さらに進展し,高齢者糖尿病も同様に増加すると予想される。高齢者糖尿病では,糖尿病網膜症,糖尿病性腎症,糖尿病性神経障害,糖尿病性大血管症,糖尿病性足病変といった糖尿病合併症に加えて,糖尿病以外の疾患の合併,さらにプレフレイル,フレイル,サルコペニア,日常生活動作(ADL)低下,認知症といった高齢者に特有な,いわゆる老年症候群やさまざまな臓器機能の低下を呈することが多い。また,高齢者糖尿病は薬剤によって低血糖を発症しやすく,転倒・骨折,認知症の発症など,低血糖がきっかけとなる有害事象が出現しやすいことも明らかになっている。糖尿病に限らず,高齢者は疾患を多数有するマルチモビディティを呈しやすい。本稿では,糖尿病とマルチモビディティ,経口血糖降下薬,インスリン,GLP-1受容体作動薬や他の薬剤と関連したポリファーマシーについて解説する。
「KEY WORDS」糖尿病,マルチモビディティ,ポリファーマシー

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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