特集 高齢妊娠・出産の現状と課題
妊娠後期における高齢妊娠の影響
Pharma Medica Vol.38 No.6, 37-39, 2020
女性の社会進出と晩婚化,さらには生殖補助医療の発達による不妊症患者の妊娠成立に伴い,初産年齢が上昇しているのは周知の事実であるが,この傾向の詳細については巻頭言に譲る。妊婦の加齢とともに連続的にさまざまな周産期合併症が増加し,これら合併症の発症に際して明確な年齢の閾値が存在しないため,国際的には高齢妊娠の年齢の定義は存在しない。ただ,1990~2000年代における多くの年齢による周産期リスクの評価の際には,おおむね35歳を1つの区切りとしているものがほとんどである。実際,2018年発行の日本産科婦人科学会『産科婦人科用語集・用語解説集』1)では,高年初産婦の定義のみが35歳以上と記載されており,「軟産道強靭などによる分娩障害,染色体異常児などの頻度,高血圧,糖代謝異常,子宮筋腫などの合併が増える」とされている。これらリスクのうち,妊娠高血圧症候群,妊娠糖尿病,子宮筋腫の合併リスクは他稿に譲り,本稿では分娩時に生じるリスクについて概説する。
「KEY WORDS」帝王切開分娩,前置胎盤,癒着胎盤,常位胎盤早期剥離,高齢妊娠
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