<< 一覧に戻る

特集 うつ病診療のトピックス

うつ病診療における地域連携の可能性

大石智

Pharma Medica Vol.35 No.12, 51-54, 2017

2013年度,精神疾患は医療計画に追加された。当時の資料1)を読み返すと,「患者の早期治療や地域への移行を目的として,急性期の入院医療の重点化や訪問診療・訪問看護等の充実を図るとともに,地域の精神科をはじめとする病院,診療所,訪問看護ステーションなどが個々の機能に応じた連携を推進することが必要」,「精神疾患を医療計画に記載すべき疾病に追加し,求められる医療機能の明確化,各医療機関等の機能分担や連携を推進」と記されている。当然,ここで記されている「精神疾患」のなかにはうつ病も含まれる。うつ病も医療計画に記載すべき疾病となり,うつ病診療に求められる医療機能の明確化,各医療機関などの機能分担や連携を推進することが,都道府県自治体に求められているということになる。
それでは2013年度以降,うつ病診療における地域連携は発展,成熟しているといえるだろうか。背景に地域差はあるだろうが,各地の識者から話を聞く限り,うつ病診療における地域連携が発展している地域は少ないようだ。筆者が診療に従事している地域では,うつ病診療における地域連携が発展しているとはいえない。
必要性が指摘されつつも,その進捗が芳しくないのはなぜだろうか。実はうつ病診療に地域連携は不要なのだろうか。うつ病診療における地域連携の必要性が,医療計画で明記されて5年目を迎えた今,その必要性と可能性について整理する。
「KEY WORDS」うつ病/地域連携/可視化/標準化

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る