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特集 膵癌への挑戦

膵癌切除可能性の術前画像診断

上村健一郎村上義昭近藤成中川直哉大毛宏喜末田泰二郎

Pharma Medica Vol.35 No.1, 35-38, 2017

膵癌は,画像診断が進歩した現在においても,約半数以上が初回診断時に局所進行や遠隔転移のため外科的切除の対象とならない。膵癌局所進行を高頻度に認める要因としては,上腸間膜静脈(superior mesenteric vein;SMV)や門脈(portal vein;PV),腹腔動脈(celiac artery;CA),総肝動脈(common hepatic artery;CHA),上腸間膜動脈(superior mesenteric artery;SMA)などの重要血管と膵臓が隣接しているという解剖学的特徴があげられる。術前画像診断によるこれらの重要血管と腫瘍の関係から切除適応が決定されるが,従来その明確な基準は提示されていなかった。2006年頃より米国National Comprehensive Cancer Network Clinical Practice Guideline in Oncology(NCCNガイドライン)において,膵癌切除可能性分類(Resectability status)の定義が提唱され,その分類に基づいたさまざまな議論が報告されてきた。これまでわが国では切除可能性に関する分類は提唱されていなかったが,2016年7月に出版された膵癌取扱い規約第7版においてはじめて切除可能性分類(Resectability Classification)として定義された。本稿ではこの膵癌取扱い規約第7版に基づき,「膵癌切除可能性」の術前画像診断について概説する。
「KEY WORDS」浸潤性膵管癌,切除可能性分類,画像診断,膵癌取扱い規約第7版

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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