特集 骨粗鬆症:超高齢社会における現状と課題
ロコモティブシンドロームとしての骨粗鬆症
Osteoporosis as a locomotive syndrome.
Pharma Medica Vol.33 No.2, 55-57, 2015
「Ⅰ.ロコモティブシンドロームとは」ロコモティブシンドロームとは,高齢化の進行する日本社会を背景として,2007年に日本整形外科学会が提唱した新たな概念である1)。ロコモティブシンドロームは運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態をいい,進行すると介護が必要になるリスクが高くなる。このロコモティブシンドロームの原疾患として変形性関節症,変形性脊椎症,骨粗鬆症とそれに伴う骨折などがあげられるが,ここでは骨粗鬆症とロコモティブシンドロームとの関係について紹介する。
「Ⅱ.骨粗鬆症がロコモティブシンドロームの一疾患に含まれている理由」骨粗鬆症は高齢に伴い,骨強度の低下をきたし,骨折のリスクが増大する骨格疾患である。通常,骨粗鬆症のみでは移動機能の低下はきたさないものの,それに伴う骨折が起こると移動機能の著明な低下をきたすと考えられている。厚生労働省が行った2013年国民生活基礎調査では介護の入り口となる要支援の原因の14.6%が転倒・骨折によるもの2)であり,原因としては3番目に多いものであった。以上より,「要介護となるリスクが高いもの」と定義されるロコモティブシンドロームに骨粗鬆症が含まれるのは妥当と考えられる。
「KEY WORDS」ロコモティブシンドローム,骨粗鬆症,骨折・転倒,疫学調査
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。