特集 肝癌の薬物療法
再発抑制のための抗ウイルス療法
Anti-viral therapy in prevention of recurrence after curative treatment of viral hepatitis related hepatocellular carcinoma.
Pharma Medica Vol.33 No.1, 59-62, 2015
「はじめに」肝切除やラジオ波焼灼療法(radiofrequency ablation;RFA)による根治療法が発達したことにより,肝細胞に対しては良好な局所制御が得られるようになった。しかしながら,肝細胞癌に対する根治治療後の再発率は,他の癌種と比較して高率である。これは,肝細胞癌の場合には肝内転移だけではなく,肝炎あるいは肝硬変からの発癌,いわゆる多中心性再発が関与しているためである。肝細胞癌発癌における肝の背景疾患としては,非アルコール性脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis;NASH)などのいわゆる非B型C型肝炎症例が増加している現在においても,C型肝炎ウイルス(hepatitis C virus;HCV)あるいはB型肝炎ウイルス(hepatitis B virus;HBV)によるものが90%近くを占めることから,これらのウイルス性肝炎のコントロールによる発癌抑制が必須である。肝炎あるいは肝硬変からの発癌,いわゆる一次発癌予防に対するインターフェロンや核酸アナログ製剤の有用性については多くの報告がみられるが,本稿では肝癌治療後の再発,いわゆる二次発癌予防に焦点をあて,現在のガイドラインおよび文献的考察を加えて報告する。
「KEY WORDS」●肝細胞癌 ●ウイルス性肝炎 ●B型肝炎 ●C型肝炎 ●再発抑制療法
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。