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文学にみる病いと老い

第83回 「紅梅」津村節子

長井苑子泉孝英

Pharma Medica Vol.32 No.10, 100-107, 2014

津村節子「紅梅」
文學界2011年5月号掲載,2011年7月文藝春秋刊,2013年7月文春文庫に収録。
舌癌*1の放射線治療から一年後,よもやの膵臓癌*2告知。全摘手術のあと夫は「いい死に方はないかな」と呟き,自らの死を強く意識するようになる。……吉村昭氏*3の闘病と死を,作家と妻両方の目から見つめ文学に昇華させた衝撃作。
(文庫カバー裏表紙より引用)

人生の締めくくりをいかに迎えるかは大きな課題であるが,自分の思うとおりにはならないことが多い。老化*4の有様も,加齢とともに増えてくる病気の有様も,勝手に自分で選び取ることはできないからである。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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