特集 加齢黄斑変性:疫学から治療まで
萎縮型加齢黄斑変性の診断
Diagnosis of dry age-related macular degeneration.
Pharma Medica Vol.32 No.10, 27-29, 2014
「はじめに」加齢黄斑変性は,主に脈絡膜新生血管の有無により,滲出型と萎縮型に分類される。現在,治療対象となっているのは滲出型加齢黄斑変性のみであり,萎縮型は現在のところ治療法がない。また,日本人では滲出型が90%以上を占め,萎縮型はまれであるため,日本では注目されることは少ないのが現状である。しかし,欧米では,逆に萎縮型が90%以上を占めるため,萎縮型加齢黄斑変性に対する治療薬の開発が盛んに行われており,多数の治験が進行中である。
「Ⅰ.診断基準」2008年に公表された加齢黄斑変性の分類と診断基準1)では,萎縮型加齢黄斑変性の診断基準は「脈絡膜血管が透見できる網膜色素上皮の境界明瞭な地図状萎縮(geographic artophy; GA)を伴うもので,地図状萎縮病巣の大きさは問わない」とされている。また,米国で行われた大規模な臨床試験であるAge-related Eye Disease Study(AREDS)では直径175μm以上とされており2),大きさの基準はさまざまである。地図状萎縮とは,網膜色素上皮の萎縮病巣で,網膜色素上皮に加えて脈絡膜血管板や視細胞も萎縮も伴っていることが多い。加齢によるものは,軟性ドルーゼンの吸収した後や網膜色素上皮剥離の虚脱した後に生じることが多い3)。
「KEY WORDS」加齢黄斑変性,地図状萎縮,網膜色素上皮,脈絡膜新生血管
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。