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文学にみる病いと老い

第81回 「難病日記」三浦綾子

長井苑子泉孝英

Pharma Medica Vol.32 No.6, 134-137, 2014

「三浦綾子「難病日記」」難病に罹っても, 長い闘病生活とともに, 仕事を継続してその足跡をしっかりと残している人たちがいる. 私たちは, 主に呼吸器系ではあるが, いわゆる難病の患者さんたちを, 長年にわたって診療させてもらってきたので, その生活上の不自由さ, つらさは, 一応は理解しているつもりである. 老いとともに, 身体の不自由さというものは, 少しずつ, しかし確実に, どの人にも起こってくることであるが, 難病による不自由さは, まだ, それほどの年齢でもないのに, その人の生活・人生をすっかり変えてしまうことになる. 「難病」は, 医学的に明確に定義された病気の名称ではなく, いわゆる「不治の病」に対し用いられてきた用語である. そのため, 難病であるか否かは, その時代の医療水準や社会事情によっても変化する. 国が難病に対する施策を取りはじめたのは, 昭和40年代以降のことで, 昭和47年に難病対策要綱というのが出されているが, この中で難病は, (1)原因不明, 治療方法未確立であり, かつ, 後遺症を残すおそれが少なくない疾病, (2)経過が慢性にわたり, 単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するために家族の負担が重く, また精神的にも負担の大きい疾病, と定義されている.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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