<< 一覧に戻る

野巫医のたわごと

(167)畳

前田貞亮

Pharma Medica Vol.32 No.4, 58-59, 2014

"たたみもせぬにタタミとは如何に", "折って使っても巻紙というが如し"という問答がある. 生活様式の変化に伴って, 板の間やリノリウム敷きの部屋が増え, 畳の部屋が少なくなった. 街では肘を使って畳表を縫う姿を見ることは殆ど無い. しかし今でも"この部屋は広いな. 何畳くらいかな"と, 畳は生きている. 和食を中心とする日本文化が世界文化遺産に取り上げられ, 茶室をはじめ, 畳にも注目が集まっている. 板の間(今ではフローリングというらしい)よりは埃の吸着がよい. 現在の様に掃除機のない時代には日本茶の茶殻(急須や土瓶の中に残っていた)を畳の上にばら撒き, 綿埃などを吸着させ掃き出したり, 天気の良い湿度の少ない日には畳床を上げ, 天日に干し, その後竹の棒などで畳表を叩き, 中の埃を掃ったものである. 畳は藁を糸で刺し固めた床に藺草(いぐさ)を編んだ表をつけ, 家の床(ゆか)の上に敷くしきだたみで, 多くは縁に布[縁布(ききれ)(ぬの)]をつけたものである.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る