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特集 整形外科領域と再生医療

骨・軟骨再生 自家培養軟骨移植による軟骨再生治療と磁気ターゲティングによる新たな治療開発

亀井豪器安達伸生越智光夫

Pharma Medica Vol.31 No.4, 25-28, 2013

「I. 培養軟骨細胞移植」1994年, Brittbergらが単層培養を利用した培養自家軟骨細胞移植(autologous chondrocyte implantation;ACI)についてはじめて報告した1). 2~9年の追跡調査可能であった94例につき, 良好な成績であったことを報告しているが, この方法では, 浮遊液の状態で軟骨細胞が移植されているため, パッチした骨膜から軟骨細胞が漏出してしまう可能性がある, 単層培養により軟骨細胞が脱分化してしまう, また移植された軟骨細胞が均一に分布するのか, といった問題点があった. Ochiらは, 再生医療の基礎である足場としてアテロコラーゲンゲルに着目した. アテロコラーゲンゲルは, 抗原性を有する末端のテロペプチドが除去されているため, 免疫応答がきわめて少なく安全性が高い. また, その構造も非常に密なメッシュ状であり, 細胞培養の足場として最適と考えられる. また, アテロコラーゲンゲル内で培養すると, 軟骨細胞は, 脱分化することなく, 形質を保ったまま増殖することができ, 周囲にコンドロイチン硫酸やII型コラーゲンなどの細胞外基質を産生することが確認されている2).

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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