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特集 整形外科領域と再生医療

骨・軟骨再生 骨髄間葉系細胞移植による軟骨再生治療

目良恒脇谷滋之

Pharma Medica Vol.31 No.4, 21-24, 2013

「はじめに」関節軟骨欠損はたとえ病変部が小さくても自然修復が困難ではあるが, 逆にある程度深い骨軟骨の全層欠損では, 病変部の大きさや周囲の力学環境によっては, 欠損部が線維軟骨で覆われることがある1)-3). このことは軟骨組織が主に緻密な細胞外基質で構成された無血管組織であるため, 欠損部への細胞遊走や創傷治癒過程での生物学的反応に限界があることを示している3)4). 欠損部と骨髄を交通させる, いわゆる骨髄刺激法は創傷治癒過程を促すきっかけとなるが, 力学強度の劣る線維軟骨の修復では, 長期的な変形性関節症進行への懸念が残る. さらにそれとは異なる方法で欠損部の修復を促進させるため何らかの細胞を移植することを考えたとき, 本来そこにあるべき軟骨細胞を移植しようとするのは当然の発想で, 歴史的にも軟骨細胞移植が最初に報告されている5). いくつかの動物実験が報告され6)-9), 1994年にはじめてヒトに対する自己軟骨細胞移植が報告された10).

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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