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特集 整形外科領域と再生医療

骨・軟骨再生 末梢血CD34陽性細胞移植による難治性骨折治療

松本知之新倉隆宏黒田良祐

Pharma Medica Vol.31 No.4, 9-13, 2013

「はじめに」近年, 再生医療の分野において, 器官形成や組織再生の研究が推し進められている. 整形外科領域においても現在, 骨髄間葉系幹細胞を用いた骨・軟骨再生が注目され, すでに一部の施設においては臨床応用が実現している. しかし, 骨髄採取による侵襲性, 細胞培養にかかる手間や手技, また, その効果においては必ずしも満足のいくものではないと考えられる. そこで, より低侵襲でかつ, より効果的な治療が今後展開されるべきであろうと思われる. 一方, 整形外科領域に先駆けて血管研究の分野においては, ヒト末梢血血管内皮前駆細胞(endothelial progenitor cell;EPC)1)がCD34陽性細胞分画として1997年に発見されて以来, 従来の既存血管内皮細胞の再形成(angiogenesis)のほかに血管内皮前駆細胞からの発生(vasculogenesis)のメカニズムが関与することが明らかとなり, 現在では, 下肢虚血や虚血性心疾患の血管再生療法として行われるようになってきている2)3).

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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