基礎講座 サイトカイン・ケモカインとその受容体
IL-10/IL-10受容体と糖尿病
Diabetes Frontier Vol.19 No.6, 811-814, 2008
「はじめに」Interleukin8(IL-8)を含む炎症性サイトカインが, 肥満に伴うインスリン抵抗性の発症に促進的な働きをしていることはよく知られる. 一方, 抗炎症性サイトカインがインスリン感受性の制御にどのように関与するのかについての報告は少ない. 本稿では, 抗炎症性サイトカインの1つであるIL-10とインスリン感受性, および糖代謝との関連について概説する. 「I IL-10とIL-10受容体」IL-10は分子量約40kDaのホモ二量体糖蛋白質である. サイトカイン産生を抑制することから, 発見時よりサイトカイン抑制因子(cytokine synthesis inhibitory factor:CSIF)とも呼ばれてきた1). マウスのIL-10遺伝子は5つのエクソンからなり, 5'上流にはNF-κB, AP-1結合部位のほか, PPARγ結合部位をもつ. またマウスとヒトのIL-10はDNA配列で81%の, アミノ酸配列で73%の相同性をもつ2). IL-10はTh2細胞, B細胞, 単球/マクロファージのほか, ケラチノサイト, 脂肪細胞など多くの細胞により産生される.
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※記事の内容は雑誌掲載時のものです。