• blog

加水分解小麦タンパクによる食物アレルギー

[第64回日本アレルギー学会学術大会] 投稿日時:2015/08/18(火) 17:46

第64回日本アレルギー学会学術大会
2015年5月26日(火)~28日(木)  会場:グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール(東京都)


加水分解小麦タンパクによる食物アレルギー

 食物アレルギーのなかで、小麦は最も頻度の高いものの一つである。特に成人で発症する小麦アレルギーは、食物依存性運動誘発アナフィラキシーの発症例が多く、小麦摂取後に運動することで誘発され、蕁麻疹、動悸、吐き気などの症状が発現する。

 2011年、加水分解小麦含有洗顔石鹸使用者約2,000名に、小麦アレルギー患者が発生し社会問題となったことは記憶に新しい。日本アレルギー学会は、2011年7月に「化粧品中のタンパク加水分解物の安全性に関する特別委員会」を発足させ、正確な情報提供を行うとともに、再発防止の為の調査研究を進めてきた。約5年が経過した現在、この問題のまとめとして第64回日本アレルギー学会学術大会において、加水分解小麦タンパクによる食物アレルギーに関するシンポジウムが開催された。

発症の危険因子
 石鹸への曝露の程度、つまり使用期間が、もっとも強い危険因子であると報告された。発症前のアトピー性皮膚炎と喘息の合併については、弱い危険因子もしくは関係がないとされたが、アトピー性皮膚炎は、顔面皮疹の有無にかかわらず危険因子であるとされた。しかしながら、44%の回答者が石鹸の使用による発症以前に、アレルギー疾患を発症していないことより患者側の素因、つまりアレルギー疾患の有無は必須条件ではないと考えられる、と報告された。

石鹸使用中止後、加水分解小麦アレルギーは治癒したか?
 石鹸使用中止後、加水分解小麦アレルギーが治癒(小麦および運動の制限がまったくない状態で3カ月以上発作がない)した患者もいるが、現状では、多くの患者においていまだ、何らかの小麦の摂取制限を要している。
 広島大学で実施されたアンケート結果では、治癒したと考えられたのは11名(23.9%)、摂取量の制限または鎮痛剤や運動との併用を避けながら少量小麦を摂取している患者は29名(63%)であった(2014年8月郵送にてアンケート実施)。

トウモロコシ含有石鹸使用者のアレルギー
 トウモロコシは、小麦、稲と並んで、世界三大穀物の一つである。本シンポジウムでは、トウモロコシ含有石鹸使用者のトウモロコシアレルギー発症の症例も報告された。
 本症例では、トウモロコシを細かく挽いた粒を含有したスクラブ洗顔料を約9カ月使用した後に、顔面の紅斑・腫脹・疼痛、眼結膜充血、咽頭違和感などが生じた。その後、約20日後に、トウモロコシ含有成分を含むスナック菓子1袋を摂食し、口唇の腫脹が出現した。本症例は、非常にまれな症例であると考えられ、興味深い報告であった。トウモロコシ摂食後にも症状がみられるようになったことより、経皮感作から食物アレルギーが発症したと考えられた。

 2015年5月31日の市民公開講座において最終報告があり、本件にかかる特別委員会は解散となった。しかしながら、いまだに何らかの小麦摂取制限を強いられている患者も多く、今後も注視していきたいと締めくくられた。

消化管アレルギー

[第64回日本アレルギー学会学術大会] 投稿日時:2015/08/18(火) 17:45

第64回日本アレルギー学会学術大会
2015年5月26日(火)~28日(木)  会場:グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール(東京都)


消化管アレルギー

 2015年5月26日(火)~28日(木)に、東京、グランドプリンスホテル新高輪で開催された、「第64回日本アレルギー学会学術大会」で、消化管アレルギーに関するシンポジウムが行われた。

 特定の食物を摂取することで、呼吸器、眼、皮膚などさまざまな臓器へのアレルギー症状が出る、食物アレルギー。その中でも、血便、下痢、嘔吐など、消化器症状を主症状とするものが消化管アレルギーと呼ばれる。特に、新生児・乳児消化管アレルギーは、新生児および乳児に発症する消化器症状を主とした食物アレルギーであり、特異的IgE抗体は陰性であることがほとんどである。しかしながら、その病態はいまだ不明な点が多い。

 新生児・乳児消化管アレルギー患者の一部に発育障害がみられることから、普通ミルク負荷試験により消化管牛乳アレルギー患者における発育障害を検知できる可能性を、静岡県立こども病院の木村光明先生らが明らかにした。

 体重増加不良を呈する患者の中に、小腸壁の肥厚が確認できたことから、小腸の炎症性病変による消化吸収不良が起こっていることがわかった。消化管牛乳アレルギー患者の管理においては、発育障害を見逃さないよう十分な注意が必要である。

 IgE依存性食物アレルギーの約1/30の発症率である、消化管アレルギー。今後、さらなる研究が期待されている。

【循環器特別号】ACC.15 Opening Showcase and the Joint ACC/JACC Late-Breaking Clinical Trials

[第64回米国心臓病学会議(ACC)] 投稿日時:2015/03/23(月) 17:45

第64回米国心臓病学会議(ACC)
2015年3月14日(土)~16日(月)  会場:San Diego Convention Center(米国)



2015年3月14日(土)~3月16日(月)にサンディエゴ(米国)にて開催されたばかりの「第64回米国心臓病学会議(ACC)」の情報をお届けいたします!
注目の臨床試験「PROMISE Trial」「PEGASUS-TIMI 54」について、ACC.15 Opening Showcase and the Joint ACC/JACC Late-Breaking Clinical Trialsに参加された先生方よりコメントをいただきました。


・A Randomized Comparison of Anatomic versus Functional Diagnostic Testing Strategies in Symptomatic Patients with Suspected Coronary Artery Disease: Results from the PROMISE Trial (PROspective Multicenter Imaging Study for Evaluation of chest pain)
Speaker; Dr. Pamela S. Douglas (Duke University Medical Center)

・Prevention of Cardiovascular Events in Patients with Prior Heart Attack Using Ticagrelor Compared to Placebo on a Background of Aspirin (PEGASUS) - Thrombolysis in Myocardial Infarction (TIMI) 54
Speaker; Dr. Marc Steven Sabatine (Brigham & Wonen’s Hospital)

(順不同)

Interview 1 小川久雄 先生 (熊本大学大学院生命科学研究部循環器内科学教授)







Interview 2 後藤信哉 先生 (東海大学医学部内科学系循環器内科教授)







Interview 3 小林欣夫 先生 (千葉大学大学院医学研究院循環器内科学教授)







Interview 4 中川義久 先生 (天理よろづ相談所病院循環器内科部長)







Interview 5 石原正治 先生 (兵庫医科大学内科学冠疾患内科主任教授)







《視聴推奨環境》
◆Windows PC
OS Windows 8/7/Vista(7以上推奨)、ブラウザ Internet Explorer:7以上(9以上推奨)、Google Chrome:最新、Firefox:最新、Adobe Flash Player:10.1.106以上(最新推奨)
◆Macintosh
OS Mac OS 10.5以上(最新推奨)、ブラウザ Safari:最新、Adobe Flash Player:10.2以上(最新推奨)
※ブラウザのJavaScriptを有効にしてください。

インクレチン・インクレチン関連薬と腸内環境

[第18回日本心血管内分泌代謝学会学術総会] 投稿日時:2015/01/09(金) 05:00

第18回日本心血管内分泌代謝学会学術総会
2014年11月21日(金)~22日(土)  会場:横浜市開港記念会館(神奈川県)


インクレチン・インクレチン関連薬と腸内環境

 慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科の入江潤一郎先生は、糖尿病治療に応用されているインクレチンの腸内環境への影響およびその意義を解説した。

 近年、糖尿病治療においてインクレチン関連薬であるGLP-1受容体作動薬やDPP-4阻害薬が広く使用されるようになり、インクレチン効果を増強する治療に注目が集まっている。GLP-1に代表されるインクレチンは膵β細胞からのインスリン分泌を促進する消化管ホルモンで、消化管内腔の栄養素などの刺激に応じて腸管内分泌細胞から分泌される。その消化管内腔の環境、“腸内環境”は摂取した食物、胆汁酸などの消化吸収にかかわる酵素、腸内細菌で規定されることから、それぞれの構成要素がインクレチン応答を変化させることが推測され、たとえば腸内細菌がGLP-1分泌を制御することなどが最近明らかとされた。したがって腸内環境に影響する治療法はインクレチン応答を増強させる可能性が想定できる。

 胆汁酸吸着薬コレスチミドおよびコレスチラミンは腸管内で胆汁酸を吸着し便中に排泄することで、血中コレステロールを低下させる薬剤であるが、あわせて耐糖能を改善するとの報告が近年相次いでいる。その機序は不明であったが、同薬によりGLP-1分泌が促進されることが明らかとされた。胆汁酸は受容体FXRおよびTGR5を介してホルモン様に作用をするが、GLP-1を分泌する腸管内分泌L細胞上にTGR5の発現が確認され、正常肥満マウスではコレスチミドによりGLP-1分泌が促進され耐糖能が改善するも、TGR5欠損マウスではその促進および耐糖能の改善が認められなかった。このことから、腸管腔内の胆汁酸代謝がGLP-1分泌に重要であることが考えられ、さらにコレスチミドは腸内細菌叢も変化をさせていたことから、胆汁酸吸着薬は腸内環境へ作用しインクレチン応答にも影響を与えていたと考えられた。

 メトホルミンは膵外作用として腸からの糖吸収を抑制することが古くから知られているが、本薬がGLP-1分泌を促進させることも最近見出された。さらにメトホルミンは腸内細菌叢にも影響し、腸管のバリア機能を高める腸内細菌の一種アケルメンシアを増加させることも報告され、メトホルミンによるインスリン抵抗性改善の機序の一つに、腸内細菌を介した腸管バリア機能の改善が想定された。実際に通常マウスではメトホルミンは耐糖能を改善するが、無菌マウスではメトホルミンによる耐糖能改善が減弱することが見出されており、メトホルミンも腸内環境・インクレチン応答に影響して耐糖能を改善する薬剤と解釈することが可能といえよう。

 他にもDPP-4阻害薬のひとつであるシタグリプチンは、血中のDPP-4活性を阻害しない程度の低用量でも耐糖能を改善することが報告されており、その機序は明らかではない。その投与量においては消化管においてはDPP-4活性の抑制を認めることから、同薬は消化管へも影響して耐糖能を改善していると考えられ、やはり腸内環境へ影響を与える薬剤と考えられる。

 入江先生は、「いわゆるインクレチン関連薬以外の薬物においても、インクレチン作用を介して薬効を発揮している可能性もあり、様々な治療法においても腸内環境への影響を考慮する必要があろう。今後は腸内環境を踏まえ糖尿病に対し最適な治療の選択が求められてくる」と語った。

心不全と免疫・炎症・腎交感神経

[第18回日本心血管内分泌代謝学会学術総会] 投稿日時:2015/01/09(金) 04:59

第18回日本心血管内分泌代謝学会学術総会
2014年11月21日(金)~22日(土)  会場:横浜市開港記念会館(神奈川県)


心不全と免疫・炎症・腎交感神経

 香川大学医学部薬理学の西山成先生は、糖代謝を含めた脳心腎連関における交感神経活性の作用について解説した。「心腎連関」において、腎交感神経が重要な役割を果たしていることが証明されている。そこで、どのように腎臓の刺激が求心性交感神経を活性化し、心拍数の上昇や高血圧を生じるのかを検証した。

 高血圧自然発症ラット(SHR)と正常血圧(WKY)ラットの腎孟内圧を5、20、50 cm H2Oへあげると、腎交感神経が活性されて、血圧および心拍数が上昇した。さらに、中枢(脳室内)にアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)を投与して腎孟内圧を同様にあげると、血圧および交感神経の活動は用量依存的に抑制された。以上から、腎臓→心臓連関のメカニズムに交感神経がかかわっていることが確認された。

 つぎに、心臓→腎臓連関について検討した。先天性腸管神経節細胞欠損ラット(ARラット)の左心機能障害モデルでは、血中ノルアドレナリン度が高く、交感神経活性の亢進を認め、6カ月間後にアルブミン尿が発症し、ポドサイト障害を合併した。交感神経を切断した左心機能障害モデルでは、6カ月経過してもアルブミン尿は発症しなかった。つまり、交感神経を切断すると、アルブミン尿の発症を予防でき、ポドサイト障害も発症しない。

 一方、ヒト腎近位尿細管細胞の培養細胞にノルアドレナリンを添加すると、腎臓局所のアンジオテンシノーゲンの発現が増加した。すなわち、慢性的に心機能が低下した状態では、心臓の交感神経が活性化され、それが脳を介して腎臓の交感神経を活性化させて、腎臓局所のアンジオテンシノーゲンが増加し、アンジオテンシンⅡの産生の亢進がおこる。これが、ポドサイト障害を介してアルブミン尿の発症に関与しているのではないかと考えられた。

 さらに、糖代謝と腎交感神経について検討した。高血圧で耐糖能異常の患者に、腎神経のアブレーションを行うと糖代謝が改善することが報告されている。交感神経の活性化により耐糖能異常が起きる要因として、臓器の血流が減少して、糖の取り込みが減少すると考えられる。実際に、肥満OLETFラットでは、糖の取り込みが各臓器(骨格筋、肝臓)で減少した。腎除神経カテーテル術(renal denervation)を行うと、インスリン抵抗性は改善し、尿糖が約3倍増加した。また、腎臓の近位尿細管にSGLT2発現の増加を認め、腎交感神経を切断すると減少した。以上から、腎交感神経を切断すると、SGLT2の発現が減少して尿糖が出現すると考えられた。

 炎症、特に酸化ストレスと交感神経の関係についても検討した。腎交感神経に抗酸化剤テンポール(SOD mimetic)を局所投与すると、腎交感神経活性が低下した。一方、酸化ストレスを増加させるDETC(O2-産生剤)投与では、交感神経活性が亢進した。以上から、酸化ストレスが交感神経のメディエーターである可能性が示唆された。

 西山先生は、「腎交感神経が活性化すると、求心性交感神経および遠心性交感神経も活性化され、交感神経活性化の悪循環が起こる。この悪循環は、各臓器での糖の取り込みの低下、SGLT2発現を増加させて糖代謝の異常をきたし、脳心腎連関(心不全悪化、脳心血管障害、アルブミン尿・腎障害)を起こすと考えられる」と述べた。
«前へ
トップページへ戻る
メディカルレビュー社の学会データベース
Diabetes Frontier Online - レクチャー 糖尿病患者の外食
糖尿病領域のオンライン投稿誌 Diabetes Frontier Online
2018年学会カレンダー 学会代表者からのメッセージもございます!
国際学会発表 世界に伝わる情報発信術指南「流れがわかる英語プレゼンテーション How To」 佐藤雅昭・著
COPD Selected Papers Online COPDに関する論文紹介 著名編集委員が厳選した最新の文献をご覧頂けます。
新刊・定期媒体のご紹介・ご購入はこちら メディカルレビュー社 医学書の編集、印刷、出版
メールマガジン「M-Review Highlight」配信中!
 

メディカルレビュー社の医療関係者向け会員制サービス「M-Square」に登録していただくと、これらのメールマガジンをご購読いただけます。

「M-Square」とは?
メールマガジンのご紹介

【PR広告】

目次から記事を探す